暖かい春から徐々に暑さが増す初夏への季節の変わり目は、体調を崩しやすい時期です。特に透析を受けていらっしゃる患者さんは、気温の変化に伴う体調管理が重要になります。無理なく快適に過ごすためのポイントをご紹介します。
気温差に対応した体温調節
5月は日中と朝晩の気温差が大きく、体温調節が難しい季節です。透析患者さんは体温調節機能が低下していることもあるため、以下の対策を心がけましょう。
- 薄手の上着を持ち歩きましょう:朝晩の冷え込みや冷房の効いた場所での体温低下を防ぐために、調節しやすい薄手の上着があると便利です。
- 透析中の体温管理を大切に:透析中は体が冷えやすくなります。必要に応じてブランケットを活用して、体を冷やさないようにしましょう。
- 入浴は適温でゆっくりと:お風呂の温度は38〜40℃程度のぬるめがおすすめです。急激な温度変化は血圧の変動につながることがあるので注意しましょう。
水分管理の工夫
気温が上がると自然と喉が渇きやすくなりますが、透析患者さんにとって水分管理は特に重要です。上手に乗り切るコツをご紹介します。
- 喉の渇きへの上手な対応:喉が渇いたときは、一気に大量の水を飲むのではなく、少量の水で口をすすいだり、氷をなめたりすると渇きを和らげることができます。
- 水分の多い食品にも注意しましょう:スイカやメロンなど、初夏に美味しくなる果物には水分がたくさん含まれています。これらも水分摂取量として計算に入れる必要があるので、食べる量に気をつけましょう。
- 体重管理を心がけましょう:透析間の体重増加はドライウェイト(基準体重)の3〜5%以内に抑えるのが理想的です。毎日同じ時間に体重を測定し、増加傾向が見られたら水分摂取を見直してみましょう。
熱中症予防
5月から気温が上がり始めると、熱中症のリスクも高まります。透析患者さんは特に注意が必要です。
- 外出時の対策を万全に:お出かけの際は帽子や日傘を使い、なるべく日陰を選んで歩きましょう。また、外出前には水分をしっかり摂り、長時間の外出は避けるようにしましょう。
- 体調の変化に敏感になりましょう:めまいや頭痛、吐き気、だるさなどを感じたら、それは熱中症の初期症状かもしれません。無理をせず、すぐに涼しい場所で休息を取りましょう。
- 室内の温度管理も大切です:室内にいるときも温度と湿度に気を配り、エアコンや扇風機を上手に活用して快適な環境を保ちましょう。部屋の温度は28℃以下、湿度は60%以下が目安です。
感染症予防
季節の変わり目は風邪などの感染症にかかりやすい時期です。透析患者さんは免疫力が低下していることがあるため、予防が大切です。
- 基本の感染対策を徹底しましょう:外出後の手洗い・うがいは感染症予防の基本です。特に透析施設に行く前後は必ず行いましょう。
- 人混みでは必要に応じてマスクを:混雑した場所や空気の流れが悪い場所では、マスクを着用すると感染リスクを減らせます。特に体調が優れないときは着用をおすすめします。
- 免疫力を維持する生活を:バランスの良い食事と十分な睡眠、適度な運動は免疫力を維持するのに役立ちます。特に季節の変わり目は規則正しい生活を心がけましょう。
季節の変わり目は体調を崩しやすい時期ですが、これらのポイントを意識することで快適に過ごすことができます。体調の変化を感じたら、小さなことでも遠慮なく医療スタッフにご相談ください。皆さんが健やかに初夏を迎えられるよう、私たちスタッフ一同、心より応援しています。
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