透析治療は、慢性腎臓病の患者さんにとって命をつなぐ欠かせない医療です。
特に年末年始は生活のリズムが崩れやすく、体調管理が難しくなる時期です。
私たち透析クリニックは、患者さんの健康を守るため、年中無休で透析治療を提供しています。
年末年始は、食生活や活動量が変化しやすい時期です。
特に透析患者さんにとっては、ご自分のペースを崩しやすくなるため、様々な注意を払って年末年始を楽しみましょう。
1. 塩分の摂りすぎに注意
おせち料理や鍋物は、塩分が多いメニューが多く含まれています。塩分の過剰摂取は、血圧上昇や溢水を引き起こします。
血圧上昇は心臓病や脳血管障害のリスクを上げますし、溢水は呼吸困難にも繋がりますし透析での徐水の負担を増やします。
●対策
ー塩分控えめの調味料を使用する:薄味でも旨みを感じられる昆布だしや鰹だしを活用しましょう。
ー食材の選び方を工夫する:蒲鉾や伊達巻など加工食品は塩分が多いため、量を控えめに。
ー自宅で調理する:市販品より手作りの方が塩分量を調整しやすいです。
2. カリウムを含む食品に気をつける
里芋や蓮根、柿など、年末年始に登場する食材の中にはカリウムを多く含むものがあります。
透析患者さんは、カリウム値が上昇すると致死性の不整脈の可能性が上がるため、適切な摂取量を守ることが重要です。
●対策
ー食材を下茹でする:カリウムは水に溶ける性質があるため、下茹ですることで含有量を減らせます。
ー摂取量を調整する:たとえば、煮物に使う根菜類の量を減らし、他の野菜で代替する工夫を。
ーフルーツの食べ過ぎに注意:みかんや柿は適量にとどめましょう。
3. 水分の摂取量を管理する
鍋料理や飲み物を摂りすぎると、体内の水分量が過剰になり、透析での除水が大変になる場合があります。
水分管理は透析患者さんにとって最優先事項です。
●対策
ー食材や飲料の量を調整する:スープや鍋の汁は控えめに。
ー塩分を控える:塩分の過剰摂取は強い口渇感につながり、飲水量が多くなってしまいます。その意味でも塩分は控えましょう。
ーむくみを感じたら早めに相談する:体重が急激に増えたり、むくみがひどい場合はクリニックに相談しましょう。
厳しい食事制限の中でも、年末年始の食事を楽しむことは可能です。ポイントは「量と質」を意識することです。
楽しむコツ
少量で満足できる味付けに:ゆずや生姜、酢など香りや酸味を加えることで風味が引き立ちます。
見た目を工夫する:彩り豊かな野菜を添えたり、盛り付けを工夫することで満足感がアップします。
食事を家族と共有する:一緒に楽しむことで、食べ過ぎを防ぎながら充実感を得られます。
透析患者さんにとって、年末年始の食事は特別な時間であると同時に、体調を崩さないための配慮が欠かせません。
食材の選び方や調理法を工夫することで、安心して美味しい食事を楽しむことができます。
体調管理が気になる場合や不安がある場合は、遠慮なく私たち医療スタッフにご相談ください。
新しい年を元気に迎えるためにも、適切な食生活で心身ともに健やかに過ごしましょう。
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